この記事はJT(2914)について投資家観点で徹底分析しています。JTの株を買おうか迷っている人は必見です。
Contents
JT(日本たばこ産業)の株を徹底分析!どこまで下がるのか【高配当・株主優待】
この記事の要点です。
- 国内1のタバコ製造、販売企業
- 株主優待あり
- 高配当銘柄
- 先進国で禁煙化が進む
- ESG投資により、タバコ企業を避ける傾向
- 配当性向が上がり続けている
- 業績はそこまで悪くない
- 財務に問題はなし
日本唯一のタバコ製造会社
社名 | 日本たばこ産業(株) |
本社所在地 | 東京都港区 |
設立 | 1985年 |
代表取締役社長 | 寺畠 正道 |
事業 | たばこの製造及び販売 食品の販売 など |
従業員 | 連結 7,457人 |
大株主 | 財務大臣 33.3% 自社 11.3% 資産管理会社 4% |
※2020年1月18日時点
・JTに関しては、1/3以上を日本国政府が保有しなければならない特別な法律があります。
・タバコ製造の独占権が認められており、国内で唯一タバコを製造している企業となっています。
・海外でのM&Aを積極的に行う経営スタイル。
・紙タバコにおける国内シェア率は6割、加熱式タバコの国内シェア率は1割となっています。
株主優待
JTの株主優待制度は2018年11月に変更されました。
年2回もらえた優待が1回になりました。
◇内容
12月31日基準日の株主の中から、当社株式100株(1単元)以上を、 1年以上継続保有されている株主に対し、年1回、優待商品を贈呈。
●100株以上 200株未満保有の株主様 : 2,500円相当
●200株以上 1,000株未満保有の株主様 : 4,500円相当
●1,000株以上 2,000株未満保有の株主様 : 7,000円相当
●2,000株以上保有の株主様 : 13,500円相当
1年以上保有しないと優待がもらえないので注意です。
参照:JT公式HP
現在の株価
こちらはJTの5年チャートと指標になります。(2020.1.17)

株価 | 2,414 | 時価総額 | 48,280憶円 |
PER | 12.6 | 外国人比率 | 16.9% |
PBR | 1.68 | 信用倍率 | 5.62倍 |
配当利回り | 6.38% | 浮動株 | 9.9% |
・2016年から株価は下落傾向
・PER,PBR的には妥当な株価
・配当利回りはかなり高水準
・外国人比率は減少続く
株価は下落しており、PBRが1.3倍ほどになれば割安圏といえる状態かと思います。
配当利回りが高く、魅力的ですが、この辺の解説は下記をご覧ください。
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たばこ業界は衰退
こちらは国内における性別、年齢別の喫煙率の推移を示したグラフになります。
出典:JT
男性の喫煙率がすごい勢いで下がっていますね。
2018年の成人男性の喫煙率は28%でした。
JTにとっては芳しくない状況ですが、今後も国内では全面禁煙の場所が増え続け、たばこ税も上がります。
国内で売り上げが改善されるのは難しいといえるでしょう。
そしてこのたばこ離れを加速させるような法改正が行われました。下記に続きます。
2020年4月よりタバコが吸えなくなる!?
「東京オリンピックはタバコの煙のない日本で迎えましょう」
という理念のもと、改正健康増進法が施工されることが決まりました。
内容はこんな感じです
改正健康増進法
①飲食店の場合は室内はすべて禁煙、しかし以下の場合は喫煙化
●2020年4月1日以降の新規店/客席面積100㎡超/資本金5,000万円超※1のいずれかに該当する店舗
・喫煙専用室を設置する(飲食は不可)
・加熱式タバコ専用室、もしくはフロアを設置する(飲食可能)
●既存店舗かつ100㎡以下かつ資本金5,000万以下の店舗
・現在の喫煙ルールを継続可能
●バーやスナック
・現在の喫煙ルールを継続可能
②オフィス・商業施設の場合は屋内禁煙、以下の場合は喫煙化
●喫煙専用室を設置する(喫煙以外の行為不可)
●加熱式タバコ専用室を設置(飲食等可能)
③児童福祉施設・行政機関の敷地内では禁煙
●屋外に喫煙所を設置すれば喫煙化
タバコ吸いながら飲食できるスペースはごくわずかに。。
実はアメリカではすでにこのような室内禁煙化は進んでおり、先進国の中で日本は後れを取っていた状態でした。
国民の健康もさることながら、インバウンドも意識したうえでの法律です。訪日外国人の満足度を高めるためにも、この法律が撤廃されることはないでしょう。
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加熱式タバコの出遅れ
近年出てきた「アイコス」で知られる加熱式タバコですが、これはフィリップ・モリス・インターナショナルという海外の会社の製品です。
JTも「アイコス」に遅れて「プルーム・テック」という加熱式タバコを発売しましたが、市場シェアの7割を「アイコス」握られており、現在の「プルーム・テック」のシェア率は1割未満となっています。

<2020年1月16日>
JTは2月1日より加熱式タバコ「プルーム・テック・プラス」の価格を4割引きに値下げすることを発表しました。
加熱式タバコのシェア獲得につながる取り組みに積極的ですね。
拡大するESG投資
ESG投資の浸透によりJTのような、たばこ株への資金流入が鈍くなっています。
ESG投資とは・・
ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。ESG投資は、欧米を中心に広く浸透し、投資残高も年々拡大傾向にあります。
公的年金基金などは、リスク管理の観点からESGを捉え、中長期的なフリーキャッシュフロー創出力など企業価値向上が期待できる企業を見極めることで、投資リスクの軽減に努めています。
出典:大和証券
要するに、
タバコや酒、ギャンブル関係の銘柄に投資しない傾向が強まっている
ということです
この取り組みはアメリカを中心に広まってきているので、JTを保有していた海外投資家は次々と売却し、海外投資家比率は2014年に比べ、約半分となってしまいました。
いずれ日本にもこの傾向が強まるでしょうし、そうなった場合に投資信託がJTの株を手放したら、株価には大きな影響が出るでしょう。
高配当の魅力はあるが、、
JTは
・30年減配なし
・16年連続増配
このような点から、高配当株として個人投資家に人気の銘柄ともなっています。
下図は配当利回りと配当性向の推移になります。
(配当性向=純利益の中に占める配当金の割合。100%だと純利益と同じ額を配当金にしているということ。)
出典:バフェットコード
配当利回りが毎年上昇していますね。
2020年1月17日時点では6.38%となっており高配当株です。株価は2,414円なので、100株買えば1万5千円もらえるので、とってもお得に感じますね。
しかし、健全な高配当株ではありません。
理由は2つ
①配当性向の増加が止まらない。
配当性向上がっているということは配当金が利益を圧迫しているということです。そして2019年度の配当性向予想は74.6%となっており、下がる様子はありません。このまま続けば配当金を維持できなくなり、仮に減配などを発表したら株価は大きく下落するでしょう。
②株価の下落が続く
配当利回りが高いですが、これは配当金の増加ではなく、株価の下落が要因となっています。配当金で6%の利益が手に入っても売却損で-20%とかになったら意味がありません。また、タバコに将来性がないことから、海外投資家やプロの投資家はすでに株を手放しています。プロが手放すような株をいつまでも保有するべきなのでしょうか。
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業績は微減にとどまる
JTの通期業績の推移です。

業績は意外と横ばいですね。
2019年は2012年のころと同じような水準にとどまっています。
喫煙割合が減少しているのに業績を微減に抑えているのは企業努力あってのことです。
会社の経営陣の方々は優秀ですね。
では、内訳をみてみましょう。
こちらは去年と比較した、セグメント別の営業利益です。

セグメントは医薬品や加工食品もありますが、利益が少ないので、国内たばこと海外たばこの2本柱になりますね。
去年と比較すると国内、海外ともに減益しています。
国内はしばらく増益することはないと思いますので、望みを持つなら海外たばこかと思います。
収益性
JTのROEと純利益率の推移です。
出典:バフェットコード
ROEの収益力の強さを表すROEと純利益率は減少傾向ですね。
個人的にはROEの減少が続く銘柄は買わないようにしています。
しかし、数値だけ見るとROEが15%付近、純利益率が18%付近は高い水準になります。
この数値が維持されるようであれば問題ないですね。
財務
財務に関する指標を以下にまとめました。
自己資本比率 | 48.4% |
利益剰余金 | 2兆7,058億円 |
有利子負債倍率 | 0.37 |
設備投資 | 1,598憶円 |
減価償却 | 1,586憶円 |
研究開発費 | 653億円 |
・自己資本比率は特に問題はないですね。有利子負債もそこまで多くありません。
・利益剰余金はたっぷりあります。2019年の純利益予想が3,400憶円で、配当性向が75%と予想されているので、配当金の支払いは2,550憶円になる見込みです。この程度ならしばらく問題ないですね。
・設備投資、減価償却研、究開発費は純利益1年分の純利益と同じ程度のなので、会社をひっ迫するような額ではありません。
まとめ
・紙タバコで国内トップシェアを誇る
・高配当、16年連続増配、30年減配なし
・喫煙率減少するも、業績への影響は軽微
・財務は特に問題なし
・国内および先進国では喫煙者の肩身が狭まっている
・ESG投資による海外投資家の手離れ
・加熱式タバコではシェア率1割
・株価の下落続く
・ROE、純利益率の減少続く
とにかくいろんな要因で株価が下がっていることがわかりましたね。
しかし、下落の要因は業績だけではなく、将来性を見越したものなので、現在は売られすぎと判断するのが正しいかと思います。
タバコの売り上げは間違いなく減少しますが、依存性がある為、なくなることはありえません。
優良企業と謳われていたJTは経営力が優れているので、倒産することも考えられません。
買うことを検討している方はじっくり待って下がりきったところでインしましょう。焦ることはありません。
以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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